パトリス・シェロー (1944-) 「愛する者よ、列車に乗れ」(1998)

1976年、バイロイトブーレーズとの「ニーベルングの指環」演出をした鬼の舞台監督。
インティマシー・親密 (2000)も凄く掘り下げた作品だったと記憶。


ベネデッティ・ミケランジェリを想起するようなタルコフスキー、スクーロフ・ショットのような冒頭から、一転して壮絶スーパー・ハイ・テンション・ヒューマン・ドラマに突入。映画という枠組みの中での演劇的生々しさハイ・テンションは、カサヴェテスよりリアルな気がした。人間関係を手取り足取り鑑賞者に説明しない方法でまさに現場に居合わせるかのような怒濤勢い鬼の演出。愛の肉体〈無修正ノーカット版〉 [DVD]
シェローが万を辞して選んだのではないかの役者は入魂の演技。筋がどうのこうのと言ってる場合ではない一本。ここまで凄いと往々にしてエンディングの難しさというのがあったりするが、シェローの作品に賭ける気合は、音楽的にも意味深マーラー(多分)9番最終楽章使用と”抜け切った”鳥瞰撮影で美しくも見事な完結性を示す。(個人的にエンディング・クレジットにも小技つかっている姿勢は好ましい)
鬼プロ入魂の仕事で感動の1作。
(画像はこの作品も無し(T_T) 未見ながらも、おどろおどろしいジャケット選択で (爆